13 October 2015

クラムスコイの絵画によせて






この絵は以前に紹介したクラムスコイの娘さんの絵です。 タイトルは Portrait of Sophia Kramskaya, the Artist's Daughter. 1882. 

クラムスコイ(Ivan Nikolaevich Kramskoi   Ива́н Никола́евич Крамско́й )は19世紀に活躍したロシアの画家です。 クラムスコイは多くの肖像画やキリスト教を題材とした絵を残しています。 
フィンランドやロシアの絵画を見る時、いつも面白いと感じることは、肖像画のモデルとなっている人々が多彩であるということです。 皇帝、皇女から農夫や少年に至るまでいろいろな人々を区別することなく描いています。 前に取り上げた、Edelfelt にもその傾向が見られます。 

歴史的に考えてみると19世紀半ばはまだロシアにしてもフィンランドにしても帝政時代です。 でも、絵画を見ると、そこにはすでにいろいろな人々が題材として取り上げられ、階層の区別という考えが反映されていない態度が見られるのは、面白いことだと思います。 

さて、クラムスコイは何枚か'Portrait of an unknown woman'というタイトルの絵を残しています。 中でもこの絵は一番有名ではないでしょうか。1883年頃の作品といわれています。


1883,Неизвестная
この絵は日本にも来ましたし、私は2004年の夏にたまたま ヘルシンキでも見る機会がありました。
馬車に座っている女性。 よく見ると女性の来ている服の素材や毛皮、さらにサテンのリボンなどが実に写実的に描かれています。
この絵のロシア語のタイトルは,Неизвестная です。 英語のタイトルでは上記のとおりです。 この Неизвестная はGoogle Translate で訳してみると日本語では「不明」となります。 まあ 「不明」ではあまりに味気がありませんが、おそらく「見知らぬ人」とでもいうのでしょうか。 
 
ところが、日本の展覧会ではこの絵に「忘れえぬ女」というタイトルをつけていました。 最近のWiki では「見知らぬ女」と呼んでいるものもありますが…。
絵画のタイトルは画家が付けるものです。 外国の画家の場合は直接日本語に直すというのは困難な場合がいろいろありますが、「Неизвестная -不明」 もしくは「Unknown」 を 「忘れえぬ人」としてしまうのはあまりに感傷的で、飛躍しすぎた翻訳だと思います。 第三者が勝手に解釈と意味を加えてしまうのはやりすぎではないでしょうか。 


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