12 September 2015

フィンランドの絵画 5 Suomi Maalauksia 5



以前のブログ「フィンランドの絵画 2」で触れましたが、19世紀のフィンランド絵画の中には厳しい生活を反映している絵が見られます。 ここで紹介する2枚は特にその特徴を表しているのではないでしょうか。


Edelfelt, Albert 1879 Laspen ruumissaatto
         なき子の棺を運ぶ家族

Albert Edelfelt は風刺画、肖像画、生活画、宗教画など幅広い作品を多く残しています。 
この絵は一般の人の生活の一場面を表したものです。 初めてこの絵を見た時に、深い印象を覚えました。
 
なき子の棺をボートで運んでいる家族。 私が過去に研究したり、親しんだりした西洋美術のイメージとはかなり異なるものでした。 暗い絵と一言で言ってしまえばそれだけですが、一度見たら忘れられない絵だと思います。 船の真ん中に斜めに置かれている小さな棺、その前に悲しげな顔をした小さな子供が描かれています。そして、その子は小さな花束を左手にしっかりと握りしめています。 その子の後ろにはやや厳しい面持ちの女性。 おそらく聖書でしょう、本を両手で持っています。右に描かれている舟をこいでいる二人。 おそらくこの子の両親でしょうか。 男性の向こう側の女性の顔は男性と重なっているため、全くわかりません。 誰一人として激しく感情を顔に表してはいませんが、堅く一文字に結ばれた口に、どうにもならないような怒り、あきらめ、悲しみと、沈んだ心がそこに表されていると思います。 

  


Gebhard, Albert 1895  Orpo
          孤児

こちらは、Orpo (孤児又は捨て子英語のタイトルはAbandoned)です。 木のベンチのようなところに横たわっている子供。 目を大きく見開いて何かを見つめています。この子の腰から下は布で覆われています。周りに人のいる気配はなく、ベッドの下には木の桶が一つ置いてあり、子供の足元にはフィンランドではよく見かける白樺で編んだバスケット。 バスケットや桶と同じように、ただ置き去りにされ、忘れられてしまったかのような、そんな印象を受ける絵です。

この、2枚の絵は気が滅入ってしまうような題材を取り上げていますが、そこから、当時の厳しい状況が見て取れると思います。 子供が成長することが、大変だった時代。 移動するのに湖を渡っていかなければならない生活。 また 子供を育てることが出来ない事情、など色々なことを語り掛け、伝えていると思います。 

宗教画や、肖像画も面白いですが、一般の人々の生活を描いた絵画は、名もない人々の姿を通して、いろいろなことを学び考えさせられ、非常に興味深いものです。





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